おはこんばんちは、
今年、コンビニのコーヒーを飲んだら、今まで飲めなかったブラックコーヒーが飲めるようになったばらさんです!
以降、コーヒーはブラック一択になってしまいました笑
「Kawasaki ER-6nにモトガジェットのメーター[motoscope pro]を付けたーい!」
そんな事ってあるよね?!笑
見た目のスタイリッシュさ、機能性、そしてカスタム感を高めるこのメーターは、世界中のビルダーやライダーに人気です。しかし、取り付けは決して「ポン付け」ではありません。プロが作業前に何を確認し、どう準備するのかを、実際の配線図とサービスマニュアルをもとに詳しく解説していきます。
用意するのは
車両のサービスマニュアル
まず強調したいのは、サービスマニュアルの重要性です。 昔のキャブ車なら「電源とアース」程度で済むこともありましたが、現代のインジェクション車はECU(エンジンコントロールユニット)と各種センサーが複雑に絡み合っています。メーター交換といえども、単純な作業ではなく、車両全体の電気系統に影響を与える可能性があります。
サービスマニュアルには、配線図・電圧値・センサー仕様など、作業に必要な情報がすべて記載されています。僕は「バイクを買ったら最初に買うべきものはサービスマニュアル」と考えるほど。これがない状態で作業するのは、まさに暗闇を手探りで進むようなものです。
まずは、motogadget製メーター「motoscope pro」本体の配線図から見ていきましょう。 この図は、メーターの基本的な接続構成を示しており、電源・信号類の入力がどのように繋がるかが一目で分かるようになっています。
図の下部には「Breakout Box(ブレイクアウトボックス)」の記載もありますね。これはmotogadgetのオプションパーツで、各種センサーやインジケーターの信号を整理するための中継ユニットです。
Breakout Boxについては、後ほど詳しく解説しますので、まずはmotoscope pro本体の基本配線をしっかり見ていきますね。
1. 赤線(常時電源)— motoscope proの基本電源ライン
まずは、motogadget motoscope proの配線図における「赤線(red)」について見ていきましょう。 この赤線は、メーターに常時電源を供給するためのラインです。motoscope proには時計機能が搭載されているため、エンジンOFF時でも電源が供給され続ける必要があります。
配線図では、バッテリーから直接1Aのヒューズを介してメーターに電源が供給される構成になっています。 この部分は比較的シンプルで、「バッテリー → 1Aヒューズ → motoscope pro」という流れです。
では、この常時電源ラインをKawasaki ER-6nの純正配線図で見ると、どこに該当するのでしょうか? ここで登場するのが、僕が描いたメーター周辺だけをピックアップした配線図です(上記画像参照)。
ER-6nも同様に時計機能を備えているため、メーターには常時電源が供給されています。 具体的には、以下のような流れになっています:
11. バッテリー → 12. メインヒューズ30A → 16. メーターヒューズ10A → 17. メーターユニット
この「16. メーターヒューズ10A」が、motogadget側の「1Aヒューズ」に相当する部分です。 つまり、ここを10Aから1Aに交換することで、motogadgetの仕様に合わせた電源供給が可能になります。
そして、最終的な接続はこうなります:
ER-6nの橙線と、motoscope proの赤線を接続するだけ!
これで、motogadget motoscope proに必要な常時電源ラインが確保できるというわけです。
ここで注意したいのが、ヒューズ容量の変更です。 ER-6nでは10Aのヒューズが使われていますが、motoscope proは1Aで十分。 ヒューズ容量を落とすことで、万が一の過電流時にメーター側を保護することができます。
ただし、他の機器と共用しているラインではないかを事前に確認することが重要です。 サービスマニュアルを参照し、該当ラインがメーター専用であることを確認したうえで、ヒューズ交換を行いましょう。
2. 茶線(イグニッション)— キーONでメーター起動
次に確認するのは、motogadget motoscope proの「茶線(brown)」です。 この線は、イグニッションスイッチ(メインキー)をONにした際にメーターへ電源が供給されるライン。つまり、キーを回して通電した瞬間にメーターが起動するための信号線です。
この茶線は、常時電源とは異なり「ON時のみ通電」する制御電源であり、メーターの起動タイミングを司る重要なラインです。
では、Kawasaki ER-6nの純正配線図ではどのような構成になっているのか? 配線図を見てみると、以下のような流れでイグニッション電源が供給されています:
12. メインヒューズ30A → 1. イグニッションスイッチ → 15. イグニッションヒューズ10A → 17. メーターユニット
この回路は、メインキーをONにすることで15番のヒューズを通じてメーターに電源が流れる構成です。 つまり、イグニッションスイッチを起点としたON時電源ラインであることが分かります。
このラインに該当する配線は、ER-6n側では「茶/白線」。 この茶/白線は、キーON時にメーターへ電源を供給する役割を担っており、motogadget側の茶線と同じ機能を持っています。
したがって、回路的にも問題はなく、以下のように接続すればOKです:
ER-6nの茶/白線と、motoscope proの茶線を接続するだけ!
この接続により、キーONでmotogadgetメーターが起動し、正常に動作を開始します。 常時電源(赤線)と合わせて、この茶線の接続はメーターの基本動作に不可欠な2本の電源ラインのうちのひとつです。
3. 黒線(アース)— motoscope proのグラウンド接続
ここは説明不要かもしれませんが、配線作業において最も基本であり、最も重要なラインのひとつが「アース(グラウンド)」です。 motogadget motoscope proの黒線は、車両のマイナス側(GND)に接続することで、電気的な基準点を確保します。これがなければ、どんなに電源や信号線が正しく接続されていても、メーターは正常に動作しません。
Kawasaki ER-6nの純正配線図を確認すると、アースに該当するのは「黒/黄線」です。 この線は、メーターユニットを含む複数の電装品が共通して使用するフレームアースに接続されており、安定したグラウンドを提供しています。
この黒/黄線は、車両の金属フレームやバッテリーのマイナス端子と導通しており、motogadget側の黒線と接続することで、メーターのグラウンドが確保されます。
ER-6nの黒/黄線と、motoscope proの黒線を接続するだけ!
この接続により、motogadgetメーターは車両の電気系統と正しくグラウンドされ、安定した動作が可能になります。 特にデジタルメーターはノイズに敏感なため、確実なアース接続は誤作動防止にも直結します。
4. 緑線(メニュースイッチ)— 表示切替と設定操作のための入力系
次に確認するのは、motogadget motoscope proの「緑線(green)」です。 このラインは、メーターの表示切替や設定変更を行うためのメニュースイッチ(操作ボタン)に接続するための入力系統です。
motoscope proは、スピード・回転数・トリップ・電圧など、複数の表示モードを持っており、これらを切り替えるには物理的なスイッチ操作が必要です。 つまり、この緑線は「ユーザーがメーターに命令を送るためのインターフェース」と言えるでしょう。
では、Kawasaki ER-6nの純正メーターにはこのような外部スイッチ接続用のラインがあるのか? 結論から言うと、ER-6nの純正メーターにはメニュースイッチが内蔵されており、外部から操作する構造にはなっていません。 そのため、motogadget motoscope proの緑線を接続できる純正スイッチや配線は存在せず、流用もできません。
motogadget motoscope proの緑線には、別途スイッチを用意して接続する必要があります。
このスイッチは、ハンドル周りやメーター付近に設置するのが一般的で、押しやすさ・防水性・デザイン性などを考慮して選定すると良いでしょう。 motogadget純正の「menu button」や、汎用のモーメンタリースイッチ(押している間だけONになるタイプ)を使用するのが定番です。
- スイッチの仕様:モーメンタリータイプ(押すとON、離すとOFF)であることが必須。
- 接続方法:スイッチの一端をmotogadgetの緑線へ、もう一端をアース(黒線)へ接続。
- 設置位置:ハンドルスイッチ周辺、メーター横、トップブリッジなど、操作性と視認性を両立できる場所が理想。
- 防水対策:雨天走行を考慮し、IP規格に準じた防水スイッチを選ぶと安心。
5. 橙線(LIN BUS)— 拡張機能用の通信ライン
続いては、motogadget motoscope proの「橙線(orange)」について。 このラインは、メーター本体とオプションパーツである「Breakout Box(ブレイクアウトボックス)」との通信に使用されるLIN BUS(Local Interconnect Network)です。
LIN BUSは、CAN BUSよりも簡易的な通信プロトコルで、センサーやインジケーターなどの周辺機器とメーターを連携させるために使われます。 motoscope proでは、ブレイクアウトボックスを介してウインカー、ニュートラル、ハイビーム、オイルプレッシャーなどの信号を受け取る構成になっており、この橙線がその通信の起点となります。
Kawasaki ER-6nの純正配線には、LIN BUSという概念は採用されていません。 そのため、この橙線は車両側の配線とは直接接続せず、Breakout Boxを経由して各信号を拾う構成になります。 つまり、現時点ではER-6nのどの線と繋ぐかを判断する段階ではなく、Breakout Boxの配線図と照らし合わせて個別に接続先を決定する必要があります。
motogadget motoscope proの橙線(LIN BUS)は、Breakout Boxに接続するための通信ラインです。 接続先の詳細は、ブレイクアウトボックスの配線解説時に改めて説明します。
このように、橙線はメーター単体では完結せず、拡張機能を活用する際に重要となる通信ラインです。 Breakout Boxを使用するかどうかによって、接続の有無や方法が変わってくるため、ここでは割愛し、後ほど詳しく掘り下げていきます。
6. 白線(スピードシグナル)— センサー選定と電圧の見極め
motogadget motoscope proでスピード表示を機能させるには、スピード信号(パルス)を正しく取得する必要があります。 この白線(white)は、メーターに速度情報を送るための入力ラインであり、接続方法には以下の3つの選択肢があります:
●スピード信号取得方法
motogadget付属のスピードセンサーを使用
motogadgetオプションのスピードセンサーを使用
車両純正スピードセンサーを流用
このうち、注目すべきは「3. 車両純正スピードセンサーを使う」方法です。 ただし、これには条件があり、センサーが12V駆動であることが必須です。
一般的に、スピードセンサーは以下の3本線で構成されます:
電源(+)
アース(−)
信号(パルス)
「バイクのバッテリーが12Vだから、センサーも12Vで動いてるでしょ?」と思いがちですが、実際には5V駆動のセンサーも多く存在します。 そのため、車両純正センサーを使う場合は、電源電圧を正確に見極める必要があります。
添付した配線図をもとに、Kawasaki ER-6nのスピードセンサー配線を確認してみましょう。 センサーには3本の線が接続されており、それぞれの役割は以下の通りと推測されます:
黄緑/赤線 → メーターに接続 → パルス信号線
青線 → ECUに接続 → 電源?
茶/黒線 → ECUに接続 → アース?
この青線と茶/黒線は、ジョイントコネクター(3. 4.)を介してECUと繋がっており、他のセンサーとも共通して使用されているようです。 ここで疑問が浮かびます:
ECUから電源が出ているということは、12Vではなく5V駆動の可能性が高いのでは?
配線図だけでは確証が持てなかったため、実際に電圧を測定してみました。 結果は以下の通り:
青線(BL)とボディーアース間の電圧:DC 5V(センサーコネクター外した状態)
つまり、ER-6nの純正スピードセンサーは5V駆動であることが判明しました。 motogadget motoscope proが要求する「12V駆動センサー」とは条件が合わないため、純正センサーの流用は不可という結論になります。
Kawasaki ER-6nの純正スピードセンサーは5V駆動のため、motogadget motoscope proには使用できません。 そのため、motogadget付属またはオプションのスピードセンサーを使用する必要があります。
このように、スピード信号の取得には電圧仕様の確認が不可欠です。 特にECU経由で電源が供給されている場合は、12Vではなく5Vである可能性が高く、誤接続による誤作動や故障を防ぐためにも、実測による確認が重要です。
7. 黄線(タコシグナル)— 回転数信号の取得方法
motogadget motoscope proの「黄線(yellow)」は、エンジン回転数(RPM)を取得するための信号線です。 このタコシグナルは、一般的にイグニッションコイルの一次側(負極)からパルス信号を拾うことで、メーターに回転数を表示させる仕組みになっています。
Kawasaki ER-6nの純正構成では、ECUからメーターへ回転数信号が直接送られているため、純正メーターはECUの出力をそのまま受け取って表示しています。 しかし、motogadget motoscope proはこのECU出力信号に対応していない場合があり、より確実な方法として「イグニッションコイルの一次回路から信号を拾う」ことが推奨されています。
配線図を確認すると、イグニッションコイルからECUへ向かうラインに以下の配線が存在します:
黒線
黒/橙線
この2日本が一次側の負極に該当する電線で、ここから分岐してmotogadgetの黄線に接続することで、正確なRPM信号を取得することができます。
ER-6nの黒線または黒/橙線と、motogadget motoscope proの黄線を接続することで、タコメーター信号を取得できます。
この接続により、motogadgetメーターはイグニッションコイルの点火タイミングに基づいたパルス信号を受け取り、リアルタイムでエンジン回転数を表示することが可能になります。
- 信号の取り出し位置は、ECU出力ではなく、コイル側の一次回路が推奨。
- 分岐方法は、ギボシ端子やスプライス接続など、確実な導通が得られる方法を選ぶこと。
- ノイズ対策として、信号線は極力他の高電流ラインと離して配線するのが理想。
- 表示の安定性が得られない場合は、motogadgetの「RPM signal adapter」などの補助パーツを検討するのも一案。
ここまでで、motoscope proを動かすための基本配線は完了!
これまでの配線作業によって、motogadget motoscope proをKawasaki ER-6nに取り付けるための基本的な電源・信号ラインはすべて接続可能であることが確認できました。 常時電源、イグニッション、アース、メニュースイッチ、スピード信号、タコ信号――それぞれの接続先と注意点を押さえれば、メーターは正常に動作します。
ただし、純正メーターの機能は一部失われる
ここでひとつ注意点。 ER-6nの純正メーターには、チェックランプ点灯時にエラーコードを液晶表示する機能があります。 これは、ECUが異常を検知した際に、ライダーに具体的な故障内容を知らせる重要な診断機能です。
しかし、motogadget motoscope proに交換すると、このエラーコード表示機能は使えなくなります。 motogadget側には汎用インジケーター表示はあっても、車種固有のエラーコードを解析・表示する機能は備わっていないためです。
この機能を残したい場合、純正メーターに戻せるような切替式の配線を作るという選択肢もあります。 ただし、実際にはスペースや配線の複雑さから、現実的には難しいケースが多いです。 特にER-6nのメーター周りは限られたスペースに多くの配線が集中しており、切替式のハーネスを設けるには相応の工夫と加工が必要になります。
カスタムに不便は付きもの。それでもやるかどうかは覚悟次第
正直なところ、エラーコードが表示されるような事態は、バイク人生で一度あるかないか。 それを心配してカスタムを諦めるか、割り切ってスタイルと機能美を優先するか――これはライダーの価値観次第です。
僕は、その一瞬の不便よりも、日々の満足感を優先したい派。 だからこそ、motogadgetのメーターを選び、配線を工夫し、手間をかけてでも取り付ける価値があると思っています。
そういった不便を被るのが嫌なら、おとなしくノーマルで乗るのがいいでしょう。 でも、覚悟を決めたなら――こちら側の世界へ、いらっしゃい!
次回予告:Breakout Box(ブレイクアウトボックス)編へ
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