おはこんばんちは、
夜、コーヒーを飲んだらガンキマリして寝れなくなってしまったばらさんです。
エナジードリンクでもたまにやらかします笑
さて、>> 前回 <<の続きです。前回は motogadget の motoscope pro を ER-6n に取り付けるための基本配線を見てきましたが、今回はオプションの Breakout Box(ブレイクアウトボックス)を「どう接続するのか/接続できるのか」を確認していきます。
前回までの配線でメーターは動作します。ですが、そのままではインジケーターや温度・圧力など、細かな情報が表示されません。ここで motogadget 純正オプションの Breakout Box を使うと、インジケーター、テキスト警告、各種温度やオイルプレッシャーなどを表示できるようになります。motogadget/motoscope pro の「読む力」を拡張するパーツ、という理解でOKです。
Breakout Box A/Bの違い(BはAの上位互換)
Breakout Box A: インジケーター系の入力に対応(エンジン警告、ニュートラル、ハイビーム、ウインカー左右、オイルプレッシャー、燃料)
Breakout Box B: Aの機能をすべて含み、さらに数値情報の表示が可能(外気温、油温、水温、オイルプレッシャーの数値)
数値まで読みたいなら、結論はB。今回は Breakout Box B を前提に進めます。
Breakout Box Bの配線図(下から1番、上が14番)
ここからは、Breakout Box Bの配線図です。端子は下から1番、上が14番。番号を振って見ていきます。ER-6n のようなインジェクション車でも、motoscope pro と正しく接続すれば、メーター交換の情報面をしっかり支えられます。
1. +12V(イグニッション電源)
イグニッションスイッチを ON にしたときに 12V が流れる線であれば、基本的にはどこに繋げても構いません。ですが、motoscope pro の茶線と共有することで配線の整理がしやすく、後々のトラブルシュートでも迷いにくくなります。
結論:motoscope pro の茶線と接続します。
2. GND(アース/グラウンド)
アースは電気系統の安定に直結する重要なポイントです。 基本的には ボディーアース に落とせば問題ありませんが、ER-6nの場合は純正配線の 黒/黄線 がアースラインになっています。ここに接続するのが確実で分かりやすいでしょう。
結論:ボディーアース、または ER-6n の黒/黄線へ接続します。
3. BUS(情報伝達線)
ここは Breakout Box と motoscope pro をつなぐ「情報の通り道」です。 motoscope pro の LIN BUS 線(橙線)と接続することで、Breakout Box に集められた車両の各種情報が、この一本の線を通じてメーター側へ送られます。
結論:motoscope pro の橙線(LIN BUS)と接続します。
4. ERROR(エンジン警告)
この端子は、ECUが異常を検知した際にメーターへ警告を送るためのラインです。主に「エンジンチェックランプ」として使われることが多く、該当する信号線と接続することで、motoscope pro にエラー表示をさせることができます…と、思いがちですが──
ER-6nの配線図を見ると、青/橙線が「Yellow Engine Warning Indicator Light (LED)」と記載されています。これを見て「じゃあこの線に繋げばOKだな」と思うかもしれません。
ちょっと待ってください。
この配線図だけでは、電気の流れが「ECU → メーター」なのか「メーター → ECU」なのかが分かりません。方向が逆だと、Breakout Box の ERROR 端子では正しく動作しない可能性があります。
Breakout Box の ERROR 端子の仕様を確認すると、「+12V」と記載されています。つまり、エラー時に ECU から +12V が出力される回路である必要があるということです。
ER-6nのサービスマニュアルに記載された点検回路図を見ると、青/橙線はアースに繋がっています。つまり、「アースに落ちるとエンジン警告灯が点く」構造です。これは、ECU内の回路が開いてアースに繋がることでメーター側の警告灯が点灯する仕組みです。
このような「アース落ちタイプ」の信号では、Breakout Box の ERROR 端子に接続しても motoscope pro の警告灯は点灯しません。
結論:別途インジケーターを用意し、「イグニッションONで12V → インジケーターライト → ECU(青/橙線)」と接続します。
5. NEUTRAL(ニュートラル)
ニュートラル回路は、スイッチが導通してアースに繋がることでインジケーターが点灯する仕組みになっています。これはほとんどのバイクに共通する構造ですが、念のため車両マニュアルで確認するのが安心です。
ER-6nの場合もこの構造に該当しますので、黄緑線をそのまま Breakout Box の NEUTRAL 端子に差し込むだけでOKです。
結論:黄緑線を Breakout Box の NEUTRAL 端子に接続します。
6. H.BEAM(ハイビーム)
ハイビームのインジケーターは、ほとんどの車両で ハイビームの電源線が分岐してメーターのインジケーターに繋がる構造になっています。ER-6nもこの例に倣った設計が確認できます。
この赤/黒線は、ハイビーム点灯時に +12V が流れるラインです。したがって、Breakout Box の H.BEAM 端子にこの線を接続することで、motoscope pro 側でハイビームインジケーターが点灯します。
結論:ER-6n の赤/黒線を Breakout Box の H.BEAM 端子に接続します。
7. TURN L(ウインカー左)/8. TURN R(ウインカー右)
ウインカー左右はセットで見ていきましょう。多くのバイクでは、ウインカーの電源線から分岐してメーターのインジケーターを光らせる構造になっています。中にはインジケーターが1つしかない車両もありますが、配線を辿ると左右それぞれから分岐しているケースがほとんどです。
ER-6nもこの構造に該当します。ウインカー点灯時に +12V が流れるラインを Breakout Box に接続することで、motoscope pro 側で左右のウインカーインジケーターが正しく点灯します。
結論:ER-6n の緑線を TURN L、灰線を TURN R に接続します。
9. OIL SW.(オイルプレッシャー)
ここで言うオイルプレッシャーは「油圧計」ではなく、油圧が無いと点灯するインジケーターです。つまり、油圧が正常にかかっていればスイッチは開いていて、油圧が落ちるとスイッチが閉じてアースに繋がる──という非常にシンプルな構造です。 ※例外があるかもしれませんので、念のため車両マニュアルの確認をおすすめします。
ER-6nもこの構造に該当しますので、青/赤線をそのまま Breakout Box の OIL SW. 端子に差し込むだけでOKです。
結論:ER-6n の青/赤線を Breakout Box の OIL SW. 端子に接続します。
10. FUEL(燃料残量)
燃料残量を motoscope pro に表示させるには、センサーがアース接続になっていることが前提条件です。これを満たしていれば、Breakout Box の FUEL 端子に接続することで表示が可能になります。
そのうえで、表示されるタイプはセンサーの方式によって異なります:
PTC抵抗型:リザーブランプの ON/OFF 表示のみ
フロートスイッチ型:リザーブランプの ON/OFF 表示のみ
フロート抵抗型:タンク残量を連続的に測定・表示可能
特に 2番・3番のタイプであれば、Breakout Box の FUEL 端子に差し込むだけでOKです。
見てくださいこの絵!上手いでしょ?!我が右腕AI君に「描け」と命じたら、しっかり描いてくれました。私が描いたのは A の〇と D の矢印だけです(笑)。ちなみに、配線図も描かせようとしたんですが、手直しで済むレベルではなかったので、配線図はすべて私が描いています。
さて話を戻しましょう。 ER-6n のフューエルレベルセンサーはフロート式で、サービスマニュアルには以下のように記載されています:
フルポジション時の抵抗値:9.6〜12.4Ω
エンプティポジション時の抵抗値:222〜228Ω
このように抵抗値が変化することから、フロート抵抗型であることが分かります。
ということで、あとは簡単。ER-6n の白/黒線を Breakout Box の FUEL 端子に差し込むだけです。
ただし注意点として、残量計の数値は加減速で激しく動くため、走行中の目安というよりは「停止状態で確認する補助機能」として捉えておくのが良いでしょう。
結論:ER-6n の白/黒線を Breakout Box の FUEL 端子に接続します。
----------------
ここまでで紹介したのは、Breakout Box A・B 共通の接続項目でした。 ここからは、Breakout Box B のみが対応している項目を見ていきましょう。
専用センサーが必要になります
Breakout Box B では、外気温・油温・水温・オイルプレッシャー(数値)などの連続的な数値表示が可能になりますが、これらの項目には motogadget 専用センサーが必要です。
車両に純正センサーが付いていたとしても、センサーには様々な規格があり、規格が一致しないと正しい数値が表示されません。そのため、motogadget が推奨する専用センサーを使うのが確実です。
ちなみに、motogadget のセンサー(※外気温センサーを除く)は、室温21℃時にアースに対して1100Ωの抵抗値を持つ仕様になっています。
表示が不要ならセンサーも不要
数値表示が不要な場合は、センサーを用意する必要はありません。 motoscope pro のモニター設定で 該当項目を非表示にすることも可能ですので、必要に応じて機能を絞ることもできます。
11. AIR TEMP.(外気温)
このセンサーは、電線の先にセンサーが付いた“ひも状”の構造になっているため、狭い場所にも柔軟に這わせて設置できます。取り回しの自由度が高く、車両の構造に合わせて最適な位置に配置できるのが特徴です。
ただし、表示される温度はセンサーの設置場所によって大きく変わります。 たとえば:
吸気温度を測りたい場合 → エアクリーナー付近に設置
外気温を測りたい場合 → ラジエターやエンジンの熱影響を受けない場所に設置
目的に応じて、狙った箇所へ正確に設置することが重要です。
結論:表示したい温度に応じて、センサーの設置場所を慎重に選びましょう。
12. OIL TEMP.(油温)
油温センサーは ねじ込み式なので、まずは取り付け箇所のねじサイズを確認してから購入する必要があります。
一般的な取り付け方法は以下の3通り:
ドレンボルトと交換(最も無難で確実)
オイルライン加工穴プラグと交換
オイルホースにアダプターを挿入
特にオイルライン加工穴を使う場合は注意が必要です。センサーが奥まで入りすぎると オイルラインが狭くなったり、逆に浅いと流れが滞留して正確な温度が測れなくなる可能性があります。 スペースに余裕があるなら、ドレンボルトとの交換が最も安心で確実です。
ER-6n のパーツリストを見ると、「オイルドレンプラグ M12×15mm」と記載されています。 したがって、motogadget の温度センサー M12 を用意すればOKです。
結論:ER-6n のドレンボルト M12×15mm と motogadget の M12 油温センサーを交換して取り付けます。
13. H2O TEMP.(水温)
水温センサーは 油温センサーと同じタイプを使用します。ねじ込み式で、Breakout Box B の水温端子に接続することで motoscope pro に水温を表示させることができます。
■ 設置場所の考え方
水冷エンジンのバイクの場合、純正で水温センサーが付いていることが多く、その付近に motogadget のセンサーを設置するのが理想です。ですが、スペースの都合でそれが難しい場合も多いのが現実。
そこで、まず考えるべきは── 「水温をなぜ知りたいのか?」
多くの場合は:
エンジンが十分に暖まったかどうかの確認
オーバーヒートの兆候を察知するため
我が助手AI君がまたもや素晴らしい図を描いてくれました! この図からも分かるように、クーラントは水温に応じて以下のように流れます:
サーモスタットが閉じている間:クーラントはエンジン内を巡回し、素早く暖める
サーモスタットが開くと:クーラントがラジエターへ流れ、冷却が始まる
さらに温度が上がると:ファンが回って冷却を補助
ER-6n のサービスマニュアルによると、サーモスタットは 80.5℃〜83.5℃で開くとされています。 つまり、サーモスタットが開くタイミングが「エンジンが温まったかどうか」の基準になります。
■ 設置候補と注意点
第一候補:純正水温センサー付近(理想だがスペース的に厳しい)
第二候補:サーモスタット → ラジエター間のホース(温度変化が分かりやすく、設置しやすい)
ただし、ER-6n の場合は ホースの直線部分が短く、アダプターが入れられるか微妙。 そのため、サーモスタットカバーを加工してセンサーを取り付けるという選択肢も検討に値します。
結論:水温センサーは「純正センサーと同じ位置」に設置するのが理想ですが、スペースの都合でそれが叶わない場合が多くあります。そのため、 「サーモスタット直後でラジエターへ向かうホース(アッパーホース)」に設置するのが現実的かつ簡単な方法です。 実際、後付けの水温センサーもこのラインに設置されることがほとんどです。
さらに、アッパーホースに設置することで、サーモスタットが開いてクーラントが流れ始めたタイミング=エンジンが温まった目安としても活用できます。 ER-6nでは、ホースアダプターの使用や、場合によってはサーモスタットカバーの加工が必要になる可能性があります。
14. OIL PRES.(油圧)
油圧を数値で表示するには、オプションのオイルプレッシャーセンサーが必要です。理想的には、純正のオイルプレッシャースイッチ付近に取り付けることで、正確な油圧が拾えるのですが──
問題はサイズです。 このセンサー、直径40mm・長さ80mmとかなり大きいんです!
スペースが限られているバイクや、スタイル重視のカスタム車両にとっては、正直おすすめできません。私自身もこれまで避けてきましたし、今回も取り付けはしません。
■ ブログ的には「付けるとしたらどこ?」
純正のオイルプレッシャースイッチの近くに、オイルライン加工穴のプラグがあるのを発見しました。 もし「センサーを付けたい」「付けられるスペースがある」という条件が揃えば、この加工穴にセンサーを取り付けるのがベストな選択肢かと思います。
結論:オイルプレッシャーセンサーは、純正スイッチ付近のオイルライン加工穴に取り付けるのが理想。ただしサイズが大きいため、スペースとスタイルに配慮して慎重に検討を。
----------------
まとめ:メーター交換は「配線の理解」から始まる
以上、Breakout Box A・B の各端子と ER-6n の配線を照らし合わせた考察でした。
今回のように、一つ一つの端子について「どの線と繋げばいいのか?」「そもそも繋げられるのか?」を丁寧に見ていくことで、必要な部品・配線の可否・設置方法が明確になります。
特に印象的だったのは「4. ERROR(エンジン警告)」のようなアース落ちタイプの信号。motoscope pro では表示できない構造でしたが、別途インジケーターを用意することで解決できるという柔軟な対応が可能です。
■ メーター交換は「電気的な相性」と「車両の仕様理解」がすべて
過去の作業でも、さまざまなイレギュラーに遭遇しました:
メーター内にイモビライザー機能があり、メーターを外すとエンジンがかからない → ECU書き換えで解除
メーターを外すとリミッターが作動し5000rpmまでしか回らない → バイクが常に0km/hで走っていると騙す回路を製作
BUS通信でインジケーター制御しているメーター → インジケーターライトが点灯できない構造
こういった事例からも分かるように、メーター交換は単なる「見た目の変更」ではなく、車両の電気的な設計との対話です。
■ それでも、エンジンがかかり走れるなら「交換は可能」
どんなに複雑な構造でも、メーターを外してもエンジンがかかり、走れる状態かつ各種機能の作動に問題なければ、メーター交換は可能です。 もちろん、インジケーターやセンサーの表示をどこまで再現するかは、目的やスタイルに応じて選択すれば良いのです。
■最後に:配線図は「読める」ではなく「使える」事が大事
配線図を眺めるだけでは意味がありません。 今回のように、実際の車両と照らし合わせて、どの端子が何を意味しているのかを考察することで、初めて“使える配線図”になります。
そしてその先にあるのは、自分だけの理想のメーター環境。 motoscope pro のような高機能メーターを活かすためにも、配線の理解こそがカスタムの第一歩です。
もし「motoscope pro、使ってみたいな」と思ったら、私のショップ「ジーザック」で取り扱っていますので、ぜひ覗いてみてください。
>> motoscope pro 製品一覧(ジーザック) <<
